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Q.「紫外線への対策は、手術後必要ですか?」 多焦点眼内レンズQ&A[手術後の生活]⑤

番場

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A.普段から紫外線(UV)対策をきちんとされているようですね。手術後もぜひ続けてください。

目も肌や髪と同じように、日焼けをします。これは多焦点眼内レンズ手術で除去する水晶体よりもっと手前(いちばん表面側)にある、「角膜」の部分が関係することです。

角膜が紫外線を吸収すると、脳はそれを感知して「メラニン色素を作って肌(皮膚)を守れ」と指令を出します。メラニン色素は肌が日焼けするとき、紫外線から肌を守るために分泌される物質です。つまりメラニン色素は色を濃くすることによって肌を守っているのですが、過敏に産生されたメラニン色素はシミやそばかすの原因にもなります。

そもそも紫外線は、皆さんが想像する以上に深刻な影響を目に与えます。角膜や水晶体にダメージを与え、角膜炎、翼状片(結膜が異常に増殖して目頭から黒目までに覆いかぶさる眼疾患)、白内障などを引き起こす原因になるのです。

多焦点眼内レンズ手術を受けた方はもう白内障が発症する心配はありませんが、50歳以上の人は加齢とともに目の細胞自体が弱くなっています。健康でよく見える目を維持するために、リスク因子を遠ざける努力は生涯にわたって続けたいものです。

眼に関する紫外線対策としては、まず大前提として「真夏の炎天下は裸眼での外出を避ける」ということを心掛けてください。実は現在、ほぼすべての多焦点眼内レンズには、UVカットの機能が備わっていますので、それより後ろの網膜や視神経はある程度、保護されています。しかし、日差しが、つまり紫外線の量がピークに達する季節には、眼内レンズよりも前にある角膜に当たる紫外線の量を極力減らすために、外出するときは、UVカット加工が施されたサングラスをかけることをおすすめします。気を付けたいのは、

・UVカット加工がないサングラスは、紫外線防止の効果をほとんど期待できない
・UVカット加工なしで、濃い色のレンズのサングラスはさらにNG

という点です。レンズの色が濃いと瞳孔がより大きく開くため、さらに多くの紫外線を取り込んでしまいます。

サングラスに抵抗がある人なら、UVカット加工のレンズを使ったメガネでも大丈夫です。そのほか、角膜ダメージをケアする目薬、つばの広い帽子やサンバイザーなども紫外線対策に効果があります。

地球温暖化や、大気のオゾン層の減少などの影響で年々、私たちが受ける紫外線の量は増えているともいわれています。「今までなにも問題がなかったから」という尺度は通用しない時代です。せっかく多焦点眼内レンズ手術で若返った視覚機能を生涯大切にしながら暮らしてください。

さいごに

今回は「紫外線への対策は、手術後必要ですか?」という質問について回答しましたが、いかがでしたでしょうか?

今年の夏も酷暑の日があるとおもいます、目だけでなく、体調にもしっかりと注意するようにしましょう。


次回は[ブルーベリーは目の健康に効果がありますか?]という質問に回答していきます。

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鈴木高佳

鈴木眼科グループ院長 兼 主任執刀医。 平成6年日本医科大学卒。日本医科大学第一病院にて麻酔科研修後、横浜市立大学医学部付属病院に所属する。この間、同大学病院、函館の藤岡眼科病院、小田原の佐伯眼科クリニックへの勤務を通して白内障手術はじめ眼科一般の経験を積む。平成14年より東京歯科大学市川総合病院眼科にて角膜疾患の診断・治療に携わり、また同年より東京歯科大学水道橋病院眼科にてLASIKをはじめとする屈折矯正手術と日帰り白内障手術を専門に行う。平成19年国際親善病院眼科部長に就任。網膜硝子体疾患に対し手術および内科的治療(光線力学療法、抗血管内皮増殖抑制因子硝子体注射療法など)を導入し、多数の患者さんの診断と治療を担当。平成22年4月、戸塚駅前鈴木眼科を開院。

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