鈴木眼科グループBlog

近視・遠視・乱視と老眼、老眼とレーシックの関係

番場

近視・遠視・乱視と老眼、老眼とレーシックの関係サムネイル画像

近視の人は老眼にならない?」

「レーシックを受けると老眼が進む?」

「数年前にレーシックを受けたが、多焦点眼内レンズの手術はできる?」

こういった質問はお受けることが多いのですが、

近視とは?老眼とは?ということがわかると、近視と老眼、レーシック(屈折矯正術)と老眼の関係性についてもわかってくるので、本日はこのような疑問にお答えしていきます。

実際当院には、以下のような問い合わせを多くいただいています。

  • 10年くらい前にレーシックを受けたが、どんどん視力が落ちてきた。パソコン作業の仕事とスマホをよく使うので目が疲れる。
  • 15年前にレーシックを受けてよく見えていたのに、最近よく見えない。
  • 10年前に受けたレーシックから、また近視がすすんでいる。且つ老眼もでてきて、眼鏡をつくっても度が合わなくなり、見えにくさ・見えづらさを感じる。
  • 15年ほど前にレーシックをしました。現在左目の視力が落ちて、片眼のみコンタクトをしています。
  • PC画面と書類を交互に見るときの切り替え時が不便。
  • レーシックを受けていても多焦点眼内レンズの手術は可能なのでしょうか?
  • 過去にレーシック手術をした事が有るが視力が0.1以下に戻ってしまった。多焦点眼内レンズの手術を受ける事は可能ですか?
  1. 1.近視・遠視・乱視と老眼、老眼とレーシックの関係
  2. 2.レーシック(屈折矯正術)と老眼の関係について
  3. 3.レーシック治療歴のある方の白内障手術の注意点
  4. 4.さいごに

 

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近視・遠視・乱視と老眼、老眼とレーシックの関係

さて、まず、

「近視だから老眼になりにくい」などと聞くことがありますが、

近視も、他の屈折状態(正視、遠視や乱視)と同様に、老眼になります。

ただ、

近視だと老眼に気付きづらいだけなのです。

調節をしない状態で、遠くを見たときに網膜上に焦点があっている状態のことを「正視」といいます。

正視の方は遠くがよく見えるのですが、実際は正視の方は少なく、ほとんどの方は、近視や遠視、乱視があります。

「近視」とは、調節をしない状態で遠くを見たときに、網膜の手前でピントが合う屈折状態、

「遠視」とは、調節をしない状態で遠くを見たときに、網膜の後方でピントが合う屈折状態

のことをいいます。
(調節についてはこちら→「老眼 疲れる…..老眼の対処方法とメリットデメリットは?<<NO.1>>」を参照ください。)

近視や遠視などの屈折異常の大きな要因は、眼軸長(目の表面から網膜まで)の長さや、

水晶体や角膜の屈折力の差によるものです。

「乱視」も近視、遠視と同じ、屈折異常なのですが、乱視はピントが1箇所には合わない屈折状態です。

角膜や水晶体の歪みが要因で、ものが二重に見えたりぶれたりする症状です。実は乱視がない方は少なく、大半の方は程度の差がありますが、乱視があります。(乱視には正乱視と不正乱視」に分けられますが、乱視についてはまた別の機会に)

人は網膜にピントを合わせることで像が鮮明に見えます。

「近視」「遠視」「乱視」は、それぞれ、網膜にピントがあってないので、ピントを合わせるために眼鏡やコンタクトで矯正をします。

言葉だとイメージがつきづらいと思いますので、イラストをご覧ください。

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近視・遠視・乱視は、「屈折異常」、

老視(老眼)は、「調節異常」と呼ばれます。

老眼とは

「調節機能の低下が原因です。

眼の中では、「水晶体」が、調節機能を担っており、

見たい距離に合わせて、水晶体を厚くしたり薄くしたりして、網膜に画像が綺麗に表示されるようにピント調節をしています。

若い頃は自由自在に厚さを変えて、オートフォーカスのようにあらゆる距離にピントを合わせていますが、年齢を重ねることによって、水晶体の弾力性は失われて硬くなり、段々と厚さを変えることができなくなってきてしまいます。

その状態が調節機能の低下=老眼というわけです。」
(老眼についてはこちら→「老眼 疲れる…..老眼の対処方法とメリットデメリットは?<<NO.1>>」を参照ください。)

 

図1のように、

近視の方はもともと近くにピントが合っている状態ですので、老眼になりピント調節力が弱く調節できる幅が狭くなってきても、眼鏡やコンタクトを外せば、近くはよく見えるため(近視の度数にもよります)、

「近視の人は老眼になりにくい」という誤解が生じたのです。

実は、近視の方も他の屈折状態と同様に、老眼になっているのですが、「老眼を自覚しにくい」ということなのです。

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レーシック(屈折矯正術)と老眼の関係について

レーシックとは、

レーザーで角膜を削って屈折率を変化させて、網膜上に焦点を合わせる屈折矯正手術です。

レーシック手術後は、「正視」(網膜上にピントが合っている)と同じ屈折状態とですから、もともと近視であった方でも、40歳を過ぎて調節力が弱くなってくると、老眼を自覚してきます。(自覚は個人差があり)

レーシックは屈折率を変える手術ですので「屈折異常」は矯正できますが、「調節異常」である老眼は矯正できないのが現状です。

最近は、遠近両用レーシックという方法も出てきていますが、老眼の原因となっている水晶体は残っていますので、

手術後も度数の変化の可能性があり、また白内障と老眼は必ず発症して進んでいき、時間の経過とともにほぼ例外なく見えづらくなってきます。
(手術による老眼の対処法についてはこちら→「老眼 疲れる…..老眼の対処方法とメリットデメリットは?<<NO.2>>」を参照ください。)

レーシック治療歴のある方の白内障手術の注意点

白内障手術は、水晶体を超音波等で砕いて吸引し取り除き、水晶体の代わりに眼内レンズを挿入する手術で、日本では年間140万件以上の手術が行われている確立された手術方法です。

目の中に入れる「眼内レンズ」は、一人一人の目の状態によって、あらゆる検査データのもと、計算されて選択されます。

その計算には、一般的には角膜の屈折力のデータを用いるのですが、

レーシックでは、角膜を削って本来の屈折力を変えていますので、レーシックを受けていない方と比べて、特殊な角膜形状となっています。

そのため、一般的な計算式を用いて計算すると、手術後の屈折度数が大きくづれ(遠視になってしまうことが多い)、見づらい状態となってしまいます。

しかし、最近では、レーシック手術後に対応した精度の高い計算式が出てきていますので、レーシック手術前の角膜データがなくても眼内レンズの度数を決定して、問題なく手術を受けることが可能です。

ただし、「術後度数ずれ」を起こさないためにも、眼内レンズの度数検討は慎重に行う必要がありますので、レーシック術後の白内障手術を検討するならば、経験がある施設にて手術をするのが良いでしょう。

 

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さいごに

老眼対策には、手術だけではなく複数の選択肢がありますが、ご自身の希望するライフスタイルや目の状態にに合わせて、メリットデメリットを把握した上で、選択していくことが必要です。

当院では、経験豊富な視能訓練士による精密な手術前検査を行っています。また、ご希望がございましたらオンラインでのご相談も承っております。

ご相談ご予約はこちらより→ https://totsuka-suzuki.com/lp02

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鈴木高佳

鈴木眼科グループ院長 兼 主任執刀医。 平成6年日本医科大学卒。日本医科大学第一病院にて麻酔科研修後、横浜市立大学医学部付属病院に所属する。この間、同大学病院、函館の藤岡眼科病院、小田原の佐伯眼科クリニックへの勤務を通して白内障手術はじめ眼科一般の経験を積む。平成14年より東京歯科大学市川総合病院眼科にて角膜疾患の診断・治療に携わり、また同年より東京歯科大学水道橋病院眼科にてLASIKをはじめとする屈折矯正手術と日帰り白内障手術を専門に行う。平成19年国際親善病院眼科部長に就任。網膜硝子体疾患に対し手術および内科的治療(光線力学療法、抗血管内皮増殖抑制因子硝子体注射療法など)を導入し、多数の患者さんの診断と治療を担当。平成22年4月、戸塚駅前鈴木眼科を開院。

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